「回復力に寄り添う」県民健康調査成果語る 福島医大国際シンポ

東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から丸10年になるのに合わせ、福島医大と県が取り組む県民健康調査について国内外に発信する国際シンポジウムが13日、2日間の日程で始まった。初日は妊産婦の状況や甲状腺検査をテーマに、医大の専門家らが10年間の調査で得られた成果を語った。福島医大放射線医学県民健康管理センターが、「福島のレジリエンス(回復力)に寄り添うために」とのテーマで開催した。新型コロナウイルス感染拡大を受けてオンラインでの開催となり、福島市の会場で専門家が講演する様子が配信された。医大によると、最大約180人が視聴した。
シンポジウムでは専門家のほか、震災後の本県で子育てを経験した母親も登壇し、体験を語った。いわき市医療センター産婦人科に勤務する松本奈未さんは震災直後、子どもに放射線の影響を与えないために線量計を持ち歩いていた経験を紹介。「年々測定値が低くなったことや、数値が可視化されたことが安心につながった。経験したことを子どもたちにも伝えていきたい」と話した。
冒頭に大学の竹之下誠一理事長・学長が登壇し、「シンポジウムが、県民健康調査への理解を深め、福島のより良い復興を考える機会になることを願っている」とあいさつした。神谷研二センター長は10年間の調査について、「原発事故が県民の健康に及ぼした影響の概要を、科学的根拠に基づいて示すことができた」と意義を語った。
- 立ち入り規制緩和、地域再生期待 大熊・下野上、熊地区の一部
- LEDでも思いはつながる 大熊に神戸から分灯「希望の灯り」
- 浪江の桜並木モザイクアート完成 横浜の3姉妹、ふたば未来高生
- 浪江・幾世橋小で解体工事始まる 5小中学校、3月末閉校
- 内堀知事「復興拠点外の対応、方向性を」 政府に検討加速求める
- 菅首相「復興、国が責任」 浜通り視察、処理水「適切な時期に」
- 公設民営「商業施設」4月5日開所 大熊・大川原、9店舗入居
- 空から見た復興に歩む「古里の姿」 ふくしまふるさとフライト
- 支援に感謝、10年を表現 ふたば未来高演劇やトークセッション
- 追悼の黄色いハンカチ いわき震災伝承みらい館に200枚展示