自然流産・人工妊娠中絶率「震災の影響ない」 福島医大国際シンポ

 
妊産婦調査などについて発表する藤森教授

 福島医大産科婦人科学講座の藤森敬也教授は2011(平成23)~16年、県内の全ての産婦人科医療施設を対象に自然流産と人工妊娠中絶の数を調査した結果、自然流産率も人工妊娠中絶率も大きな変化はなかったとする研究成果を発表した。

 1986(昭和61)年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故の後、欧州なども含めて人工妊娠中絶率が上がったという報告があったことから、震災直後から調査を行ってきたという。研究の結果、「東日本大震災が自然流産・人工妊娠中絶率に及ぼした影響はなかった」と結論付けた。また、藤森教授は11~18年の8年間の県民健康調査・妊産婦調査の結果も紹介した。早産率、低出生体重児率は全国平均と同様で、先天奇形・先天異常発生率も一般的に報告されているデータと同じレベルだった。藤森教授は低線量被ばくへの不安を巡り「客観的な科学データを積極的に公開して、安全だということを示し理解を得ていくことが重要だと考えている」と指摘した。

 福島医大総合科学教育研究センターの後藤あや教授は、原発事故後の妊産婦の精神的健康状態とともに、現在の母親らの新型コロナウイルスへの対応についての研究成果を紹介した。

 新型コロナを受け、「公園に行って外で走らせてあげたいけど、コロナが怖くて行けないのが心苦しい」との声が寄せられたことを明かし、「10年前と同様、不安の中でそれぞれ対策を取っている様子が分かる」と指摘した。

 その上で「未知の見えないリスクに対して母親が子どもの心配をするのは自然な反応。保健医療従事者は心配を受け止め、ともに対策を考える前向きな姿勢を持つことが大切だ」と、原発事故とコロナ禍を踏まえて指摘した。