甲状腺検査の過剰診断「知識普及に工夫必要」 福島医大国際シンポ

がんの過剰診断について発表する祖父江教授
大阪大大学院医学系研究科の祖父江友孝教授は甲状腺検査で指摘されている過剰診断について解説した。
祖父江教授は「(一般的に)過剰診断は、進行がゆっくりしているために、その人が生きている間には症状などが出ないと考えられるがんを、検診などで見つけてしまうことだ」と説明。個々のがんについて、過剰診断かどうか判断するのが難しいことも指摘した。
その上で「過剰診断は、通常のがん検診で起こりうる重大な不利益の一つ。専門家にとっても理解が難しい問題だが、知識の普及に特別な工夫が必要だ」と語った。分科会の座長を務めた福島医大甲状腺・内分泌センターの横谷進センター長は「この過剰診断の話を福島の甲状腺検査にどう生かすか、たくさんの人による議論が進むことを望む」と述べた。
甲状腺検査を巡ってはこのほか、インペリアル・カレッジ・ロンドン(英国)のジェリー・トーマス教授が、英国からオンラインで基調講演した。旧ソ連チェルノブイリ原発事故の健康影響に関する研究に携わるトーマス教授は、福島で見つかっている甲状腺がんについて、「チェルノブイリで見つかった甲状腺がんとは、年齢分布が違っている」と指摘。大規模な集団検査の結果見つかっており、放射線の影響によるものではないとの考えを示した。
- 立ち入り規制緩和、地域再生期待 大熊・下野上、熊地区の一部
- LEDでも思いはつながる 大熊に神戸から分灯「希望の灯り」
- 浪江の桜並木モザイクアート完成 横浜の3姉妹、ふたば未来高生
- 浪江・幾世橋小で解体工事始まる 5小中学校、3月末閉校
- 内堀知事「復興拠点外の対応、方向性を」 政府に検討加速求める
- 菅首相「復興、国が責任」 浜通り視察、処理水「適切な時期に」
- 公設民営「商業施設」4月5日開所 大熊・大川原、9店舗入居
- 空から見た復興に歩む「古里の姿」 ふくしまふるさとフライト
- 支援に感謝、10年を表現 ふたば未来高演劇やトークセッション
- 追悼の黄色いハンカチ いわき震災伝承みらい館に200枚展示