「やりがい」「一歩前進」福島県内3漁協、本格操業へ弾む声

 
「ようやくやりがいのある漁ができそうだ」と期待を語る志賀さん=1日午前9時10分、いわき市・小名浜漁港

 東京電力福島第1原発事故後に本県沖で試験操業を行っていたいわき市、相馬双葉、小名浜機船底曳網の各漁協は1日、本格操業への移行に向けた操業を始めた。各漁協は段階的に水揚げを増やしていく方針で、漁師や仲買人らは本県漁業の再興を目指し新たな一歩を踏み出した。

 本県漁業者にとって節目となったこの日、漁獲に向け多くの船が未明から沖へと出発した。「原発事故前はメヒカリやヤナギダコなどがいっぱい取れたんだ。移行期間に茨城沖での漁が可能になって、いろいろな種類を水揚げできるようになってほしい」。小名浜機船底曳網漁協所属の「第3政丸」船主志賀金三郎さん(74)は、熱く語る。

 志賀さんは1日午前2時ごろにいわき市の小名浜漁港を出港。同市沖15キロで操業し、同9時に港に戻るとアンコウなど季節の魚介類を多く水揚げし、笑顔を見せた。現在は本県沖で引き網1回の操業だが、事故前は沖で一晩を過ごし、他県沖などで複数回網を引いて多くの海産物を漁獲していた。「前は自分の思うように船を出せた。ようやくやりがいのある漁ができそうだ。早く元に戻って、おいしい魚を取って皆さんに届けていきたい」と意気込んでいる。

 相馬双葉漁協松川浦地区代表代理を務め、青ノリ漁を営む山下博行さん(67)は「試験操業が終わり、意識も変わっていく。一歩前進したという感じがする」と力を込めた。小型船の漁師で同漁協理事の狩野一美さん(79)は「本格操業にはほど遠い。スムーズな販売体制も整えながら、少しずつやっていかないといけない」と前を向く。

 仲買業者も期待を寄せる。相馬市のカネヨ水産の小野芳一さん(38)は「今後操業海域が広がれば、魚種も増えてくる。どんな魚が入ってくるのか楽しみにしているお客さんもいて、問い合わせも来ている」と声を弾ませた。