帰還困難の避難指示、拠点外除染後に解除 自民復興本部が提言案

 

 東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域を巡り、住民の帰還に必要な箇所を除染した上で、避難指示を解除するとの提言案を自民党東日本大震災復興加速化本部が検討していることが5日、分かった。帰還を希望する全ての人が古里に帰れるよう「2020年代をかけて取り組みを進めることが重要だ」と年限を区切り、政府に具体的な方針決定を求める考えだ。

 自民復興本部は6日の総会などで議論し、公明党と調整した上で、今月下旬にも第10次提言として政府に申し入れる見通しだ。与党の提言は政府の復興政策の根幹となるケースが多く、政府は提言を踏まえて復興拠点から外れた地域の避難指示解除に向けた方針を打ち出すとみられる。

 帰還困難区域のある双葉、大熊、浪江、富岡、葛尾、飯舘6町村が計画した復興拠点では22~23年春の避難指示解除を目指し、国費で除染と家屋解体、インフラ整備が行われている。

 提言案では、復興拠点の避難指示解除から遅滞なく拠点外の地域の除染に着手するよう促す。除染とインフラ整備を一体的に進めていくため、国が財源を確保する必要性に言及。復興施策やエネルギー政策の予算の活用を検討している。

 震災と原発事故から10年以上がたち、帰還の判断が難しい人もいるため、複数回の住民意向調査を通じて帰還を希望する人の実態をきめ細かく把握すべきだと指摘。その上で、除染の手法と範囲、残された建物、土地の取り扱いなどを地元町村と十分に協議して検討するよう働き掛ける。

 また、帰還困難区域全体の再生に向け、生活環境の改善や雇用創出などの支援策をまとめた政策パッケージづくりを提起する。

 復興拠点から外れた地域を巡っては、政府が「たとえ長い年月を要するとしても、将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除」するとの決意を示したが、解除までの時間軸や除染の在り方について明らかにしていない。このため、高齢化した避難者から「古里に帰還したい」「帰れるようになるめどをつけてほしい」という切実な思いが各町村に寄せられており、政府、与党に方針提示を急ぐよう要望が相次いでいた。