双葉町50ヘクタールを先行除染へ 下長塚と三字行政区

 

 双葉町は13日、特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた帰還困難区域のうち、特定帰還居住区域として先行除染を行う下長塚行政区と三字(さんあざ)行政区の復興再生計画案をまとめた。対象区域は下長塚行政区の長塚地区の一部、三字行政区の目迫、水沢、前田各地区の一部で計約50ヘクタール。町は今月、県の同意を得た上で国に計画案を申請する。早ければ年内にも除染を始め、5年以内の避難指示解除を目指す。13日の町議会全員協議会で町が計画案を示した。

 特定帰還居住区域の計画案が示されたのは初めてで、町道やインフラ復旧・整備に必要な施設なども含めて対象区域とする。住民意向調査などを踏まえ、宅地や農地、道路、山林など帰還を望む住民の生活圏を面的に反映させた。避難指示解除の要件は放射線量が年間20ミリシーベルト以下とする復興拠点の要件を踏襲する。

 町は3月、両行政区を先行除染の候補地に選んだ。両行政区は昨年8月に避難指示が解除されたJR双葉駅周辺の復興拠点に含まれた地域と含まれなかった地域があり、行政区で分断が生まれていた。

 伊沢史朗町長は「特定帰還居住区域の設定により復興はまた一歩前進する」と期待した。ただ、今回は復興拠点外の再生に向けたモデル事業の先行除染のため予算が限られ、両行政区と同じく復興拠点の内外で分断された羽鳥行政区は区域から外れる形になった。伊沢町長は「来年度以降の早い時期に分断解消の取り組みを進めたい」と述べた。

 町によると、両行政区全体の住民登録数は8月末時点で、下長塚は56世帯142人、三字は293世帯731人。特定帰還居住区域内の帰還意向がある世帯数は、個人情報の特定につながるなどの理由から公表していない。