福島第2原発...ようやく「廃炉」決定 立地2町財政支援など課題

 
第2原発4号機の使用済み燃料プール=2018年2月

 東京電力福島第1原発では、廃炉作業での最難関となる溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しに向け、作業や検討が進んでいる。2号機では今年2月、デブリとみられる堆積物への接触に成功。今後は1、2号機で、少量のデブリを試験的に採取する計画だ。2021年に予定している本格的な取り出しは、2号機で実施する見通しとなっている。

 福島第1原発で廃炉作業が行われている一方、福島第2原発(楢葉町、富岡町)について東京電力は、7月31日の取締役会で全4基の廃炉を正式決定した。廃炉方針の表明から1年1カ月余り。第1原発の全6基と合わせ、県や県議会が求めていた県内原発の全10基が廃炉となる。

 廃炉完了には40年以上かかる見通し。第2原発にある約1万体の使用済み核燃料について東電は、敷地内に一時保管する貯蔵施設を新設し、金属容器に入れて空冷する「乾式貯蔵」を導入する。県や立地2町は使用済み核燃料の県外搬出を大前提と求めており、東電の小早川智明社長も県外搬出を明言した。

 東電は今後、経済産業省に廃炉会計を申請する。承認後、廃止措置計画を策定し、原子力規制庁の審査を受ける。東電、県、立地2町の4者は廃炉に関する安全確保協定を締結し、貯蔵施設の整備などについて具体的な協議に入る見通し。

 廃炉決定に伴い、立地2町への年間約10億円の交付金は10年後にゼロとなる見通しだ。このため、県や立地2町は交付金に代わる財源を国に要望している。経済産業省は2020年度予算の概算要求で、立地2町への財政支援としてそれぞれ約10億円を計上、これまでの交付金と同規模の予算を特例で求めた。同省は、2町が長期的に地域振興の見通しが立てられる財政支援についても財政当局と調整する方針だ。