【大熊現地ルポ】作業スピード『加速』 大型ダンプ3000台往来

 
大型ダンプが行き交い、重機が稼働する土壌貯蔵施設

 今回報道陣に公開されたのは大熊町側の受け入れ・分別施設と土壌貯蔵施設、技術実証フィールドの3カ所。これまでに何度か施設に立ち入っているが、風景は様変わりした。住宅が解体され、施設の整備が進み、施設の広大さを以前にも増して感じる。2015(平成27)年3月から始まった搬入のスピードは一気に加速している。本年度(2月20日時点)だけで、これまでの搬入量の半分を超える約352万4000立方メートルが運び込まれた。

 施設内を移動していると、とにかく目につくのは大型ダンプをはじめとする作業車だ。搬入の加速化に伴い、広大な敷地内で1日に延べ約3000台の大型ダンプなどが往来している。一通り視察を終え、集合場所に戻る途中のことだ。取材陣の乗った大型バスが対向する車両とぶつかりそうになったのか、急ブレーキが踏まれた。座席にきちんと座っていたが、前の座席に頭をぶつけそうになった。

 施設のある大熊町では昨年4月に大川原地区などで避難指示が解除された。今月4日には双葉町のJR双葉駅周辺、5日には大熊町のJR大野駅周辺で避難指示が解除される。事故を起こした原発が立地する両町の復旧・復興はようやく緒に就いたところだ。

 多くの車両が行き来する中では、交通事故の発生が懸念される。施設内では昨年2月と10月に死亡労災事故も起きている。無事故・無災害に運営して初めて、復興に資する施設と言えるのではないかと改めて感じた。