「廃炉最難関」作業挑む 2号機、年内にも最初のデブリ取り出し

 

 東京電力福島第1原発1~3号機の内部には、原発事故で溶け落ちた大量の核燃料(デブリ)が存在している。東電は2022年内に2号機から最初のデブリ取り出しを行う目標を掲げている。「廃炉の最難関」とされる取り出しには、どのような課題があるのか。

 2号機の原子炉格納容器の側面にある貫通部から、ロボットアームを入れて内部にあるデブリを採取する。最初の取り出しは、試験的な位置付けとされており「耳かきで取る程度」の規模になりそうだ。

 ロボットアームは、楢葉町にある日本原子力研究開発機構(JAEA)の施設に運び込まれ、操作の確認などが行われている。取り出しは「22年内」とされているが、関係者の間では「訓練の時間などを考えると、22年の年末ごろ」というのが現実的な見立てだ。

 原発事故の直後から収束対策に関わり、廃炉戦略に詳しいJAEAの舟木健太郎理事(53)によると、第1原発のデブリは、場所によって性質や形状が異なることが想定されるという。2号機で試験的に取り出すのは、原子炉格納容器まで溶け落ちたデブリだ。

 舟木氏は「核燃料と燃料を包んでいた被覆管、周囲にあったさまざまな金属が溶け合った状態で、金属と同等の硬さがある」と分析する。ただ、格納容器の底部にあったコンクリートと反応した場合、「コンクリートと燃料の比率によっては、もろく崩れる可能性もある」という。

 そのため、試験的に取り出したデブリの成分を分析し今後の作業の在り方を検討していく必要がある。デブリは少量でも非常に高線量のため、特殊な容器に入れて運び出す。分析先は茨城県にあるJAEAの施設が有力な候補地だ。

 舟木氏は「現場で故障してしまうと、高線量の中で厳しい状態になるため事前の準備が欠かせない。取り出しで放射性物質が漏れないような対策や、作業員の被ばく低減も重要」と指摘する。安全性を常に評価しながら作業を進め、着実な取り出しにつなげていくことが求められる。