除染廃棄物増加への対応必要 「貯蔵率」96%に

 

 県内の除染作業によって出た土壌などを貯蔵する中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)は1月末現在、整備面積約1600ヘクタールのうち民有地と公有地合わせて1265ヘクタールについて用地契約・取得を済ませている。

 中間貯蔵施設での作業の流れは【図】の通り。トラックで各地の仮置き場から集められた除染廃棄物は受け入れ・分別施設でふるいにかけ、土壌は専用の貯蔵施設に保管する。草木や根っこなどの可燃物は、かさを減らすため「減容化施設」で焼却し、灰にした後に廃棄物貯蔵施設に収める。一部の廃棄物は、中間貯蔵施設の外にある「仮設焼却施設」で灰にされた後、施設内に運び込まれている。

 環境省によると、帰還困難区域を除いた県内各地の除染作業で発生した廃棄物の量は約1400万トンとなっている。これに加え、帰還困難区域内の特定復興再生拠点区域(復興拠点)で実施した除染と一体化した整備事業で、160万~200万トンの廃棄物が出ると推測されている。

 このうち、1月末までに約1260万トンが、すでに中間貯蔵施設に運び込まれている。中間貯蔵施設で収容することができる総量は約1310万トンとなっており、現時点の貯蔵率は約96%になる。ただ、環境省は「現在計画されている復興拠点の整備工事で出る分の廃棄物については十分に収容することができる」としている。

 ただ、帰還困難区域を巡っては、政府が「復興拠点外」となっている地域についても、帰還を希望する全住民が2020年代中に帰還できるよう、除染を進めて避難指示を解除する方針を打ち出した。まだ除染の範囲などについて具体的な議論は進んでいないが、さらなる除染廃棄物の増加は避けられない状況だ。

 環境省は当初予定していなかった増加分への対応について「現在の貯蔵容量で足りなくなった場合には、敷地内に貯蔵施設を増設することで対応したい」としている。帰還困難区域全体の復興が、中間貯蔵施設の容量によって制限されることがないような対応が求められる。