ロボテス運営、軌道へ 福島県「一定の効果生まれている」

 

 福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想に伴い整備された福島ロボットテストフィールド(ロボテス、南相馬市、浪江町)や福島水素エネルギー研究フィールド(浪江町)などの拠点は、運営が軌道に乗りつつある。

 県によると、2020年3月に全面開所したロボテスは昨年10月1日現在、22の研究室のうち17室に県内外の企業や研究機関が入居。累計の来訪者は約7万4100人、ロボテスや浜通りを拠点とした実証試験の誘致件数は895件、ロボット研究開発は85件、震災後に浜通りに進出したロボット関連企業は70社に上るなど、県は一定の効果が生まれているとみている。

 水素関連でも、県内で燃料電池(FC)トラックを使った物流実証が始まったほか、商用の定置式水素ステーションの設置が進むなど、研究フィールドの立地を生かした産学官連携の取り組みが加速している。

 地元企業の廃炉産業参入に向けたマッチングサポート事務局の登録企業は171社、県内外の企業や金融機関、団体などの異業種交流組織「福島イノベ倶楽部」には126社が会員で参画しており、多様な分野で連携基盤ができつつある。

 イノベ構想の取りまとめから9年、構想の中核拠点となる福島国際研究教育機構の設立効果への期待は高い。県などは、機構の設立効果を早期に、広域的に波及させるためのネットワーク形成を進めていく方針だ。