【首長に聞く】葛尾村長・篠木弘氏 若い発想で全国のモデルに

 
篠木弘葛尾村長

 葛尾村は、東京電力福島第1原発事故による避難指示が大部分の地域で2016年に解除され、昨年6月には野行(のゆき)地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)でも解除された。村内の居住率が震災前の3割にとどまる中、篠木弘村長は「住宅整備を進め、移住定住の増加を進めたい」と語る。

 ―復興状況は。
 「水稲の育苗、酪農や和牛繁殖の農畜産業施設、住宅の整備などハード面の復興は道筋が立った。産業団地への企業進出も進んでいる。新年度に子育て世帯向け住宅と単身向け住宅を大規模に整備することで、村への帰還や移住定住の拡大を進めていきたい」

 ―野行地区の復興拠点と拠点外の再生に向けては。
 「野行地区の多くは農地で取り扱いについて住民と協議している。ほ場整備をしながら農地の利活用を進めたい。拠点から外れた帰還困難区域の小出谷地区については、隣接する浪江町の小伝屋地区と一体的な除染と家屋解体を進めるよう政府に求めていく」

 ―隣の浪江町に福島国際研究教育機構が開設される。村はどう関わっていくか。
 「県道浪江三春線のバイパス化が進めば、浪江―葛尾間は車で20分ほどになる。村の若手職員でチームをつくり、村への波及について議論を始めた。葛尾は原発事故の影響で急速に過疎化が進んだ。全国的にも人口減少が進む中、中山間地域の葛尾でどんなことができるのか、若い発想で全国のモデルとなるような取り組みを発信していきたい」

 ―4月に村制施行100周年の節目を迎える。
 「私が一番好きな言葉は温故知新だ。先人が築いてきた葛尾の歴史を振り返りながら震災でお世話になった皆さんに感謝の思いを伝える機会にしたい。6月に予定する記念イベントでは能と狂言などの多彩な催しを企画している」