【首長に聞く】南相馬市長・門馬和夫氏 小高区の高齢化、厳しい状況

 
門馬和夫南相馬市長

 南相馬市は、東京電力福島第1原発事故で小高区に出た避難指示解除から7年を迎える。帰還した住民の数は伸び悩む一方、市内への移住者は増加傾向にある。本年度は統計上初めて移住者数が300人に達する可能性があり、門馬和夫市長は「やるべきことは明確。子育て支援や移住定住策を進めていく」と話す。

 ―復興状況をどう見るか。
 「原発事故からの復興は途上で、小高区の人口は事故前と比べて3割、子どもの数は10分の1になってしまった。小高区の高齢化率は50%近くに上り、双葉地方と比較しても厳しい状況にある。何とか手を打たなければならない。ただ、若い人たちが小高に移住してきており、子育て支援、移住定住策の成果が見えている。やるべきことは明確だ」

 ―小高区の帰還、移住定住の状況は。
 「小高区の居住者は1月末現在3820人で横ばい状態だ。3200人が市外に避難しており、時間の経過とともに帰還率が下がっている。帰還するか態度を決めかねている人もおり、安心して暮らせるまちだと発信する必要がある。一方、市全体での移住者は2020年度が106人、21年度が229人。本年度は既に279人おり、初めて300人を超える可能性がある」

 ―小高診療所に入院機能を導入できるめどは。
 「小高区で入院機能が再開できないのは、医師不足が要因だ。再開するまでには建物を新設する必要もあり、2~3年はかかる。この間をどうするか、再開までの代替策について検討を始めた。昨年末、入院機能のある市内五つの病院関係者と意見交換した。市全体で医師が足りず、既存の病院が深刻な状態になっている。救急体制や病院の診療科目、病床の在り方などを役割分担して連携していく方向で検討している」