【首長に聞く】田村市長・白石高司氏 都路の商業施設整備にめど

 
白石高司田村市長

 田村市は、東京電力福島第1原発事故で都路地区に出た避難指示の解除が2014年4月と第1原発の半径20キロ圏内では最も早く、復興への取り組みが先行してきた。新型コロナウイルス禍で交流イベントなどが停滞気味となっており、白石高司市長は「さまざまな分野で情報を発信し続ける姿勢が大切だ」と語る。

 ―基幹産業の農林業振興に向けた見通しを。
 「都路地区では県内最大規模となる乳牛や肉用牛の牧場が設けられるのが、大きなプラス材料だ。近隣農家との連携方法を模索したい。農産物の販売促進には6次化が課題だ。サツマイモ加工施設の建設を検討する。干し芋などに加工することで農産物に付加価値を付け、農家の所得向上につなげていきたい。原発事故前まで盛んだった原木シイタケ栽培の再開が待ち望まれるので、国の支援を得ながら里山再生に取り組んでいく」

 ―空き家対策や経済活性化策にどう取り組むか。
 「空き家バンクを設けたが、まだ登録数が少ないのが現状だ。改修費の負担をどうするのかなど難しい問題もある。持ち主の意見に耳を傾け、家を求める人のニーズを把握しながら対策を進めたい。都路地区の複合商業施設整備は見通しが立ってきた。買い物環境を整え、地域住民が生活しやすいようにしていきたい」

 ―風評払拭への施策は。
 「カブトムシを観察できるムシムシランド(常葉地区)があることから分かるように田村には多様な昆虫が生息している。昆虫がいることは自然環境が豊かな証拠だ。『昆虫の聖地』として国内外にアピールし、市内に人を呼び込みたい。子どもは昆虫が好きな傾向にあるので、家族連れに訴える力がある。近隣自治体とも連携しながら、観光客を広い範囲で受け入れられるよう情報発信していく」