浪江、ももクロがくれた場所 リモート勤務・千頭数也さん

 
浪江町の請戸川沿いを散歩する千頭さん。「町民の前向きな思いと温かさに引き込まれた」と語る

 移住のきっかけは、10年来応援しているアイドルグループ「ももいろクローバーZ」の一人が、浪江町にご当地アイドル「浪江女子発組合」をプロデュースしたことだった。東京都出身の千頭数也(ちかみかずや)さん(36)は、ライブで浪江町を訪れるうちに浪江が好きになり、アイドル推しから、いつしか"浪江推し"になった。

 「浪江町民の前向きな思いと温かさに引き込まれた」。千頭さんは2020年から浪江を訪れるようになった。空き家が目立つ町内だったが、ネガティブな印象は抱かなかった。夜の居酒屋での町民との交流は楽しく、「都会にはない居心地の良さを感じた」。引き込まれるように、22年10月、神奈川県から単身移住した。

 移住には仕事探しが必要となるケースは多いが、千頭さんの勤務先や職務内容は変わらず、都内のIT企業に籍を置いたまま在宅でリモートワークを続けている。その上で新型コロナウイルス禍も追い風とし、千頭さんの浪江への強い思いを受け取った経営陣は、社内初の「移住・完全リモート勤務」を承諾した。

 請戸川沿いの散歩が日課で「出会う町民との交流が心地よい」と笑顔を見せる。仕事の傍ら、町のコミュニティー再建や課題解決にも力を注いでおり、4月にはJR浪江駅前にコミュニティースペース「ナミエのスナバ」を開設し、町民と移住者が気軽に集まれる空間をつくった。新たな町づくりが進む中、千頭さんは「地域の一員として、浪江町と移住者をつなぐ橋渡し役になりたい」と話している。