住民と移住者、つながる場を 富岡町議・辺見珠美さん

 
「さまざまな人たちをつなぎ、まちの活力をつくりたい」と意気込む辺見さん(左)。町内で親子連れと会話を弾ませた

 「多様な人々が暮らしやすい町にしたい。まちの活力をつくる土台になる」と語るのは、3月の富岡町議選で初当選した東京都出身の辺見珠美さん(35)。東京電力福島第1原発事故後に浜通りに移住し、富岡町では、まちづくり会社で移住者支援業務などに携わった。経験を復興に生かそうと立候補し、原発事故後の町への移住者として初めての町議となった。

 辺見さんは東日本大震災時、都内の大学で放射線工学を学んでいた。被災地の役に立ちたいと考え、都内に避難した富岡町などの子どもの学習支援や飯舘村での放射線測定のボランティアに励んだ。住民との触れ合いを通して「現場で活動したい」と決断。大学を卒業した2012年に川内村に移住し、福島大の相談員として住民から放射線の不安などを聞き取った。

 20年に富岡町に移住し、まちづくり会社に勤務。Iターンの経験を生かし、移住支援事業に関わった。また、子ども食堂や障害者らの交流会の運営を通して住民支援を続けた。この間、住民の困り事の声は行政に届けて解決に努めてきた。一方で頼りにしていた町議の引退を知って「まちを変えたいなら、自分が行動して伝える側にならなくては」と出馬を決意した。

 選挙戦は、自らも双極性障害があるため福祉の充実や障害者雇用の促進をはじめ、きめ細かい教育や子どもの居場所づくり、帰還した住民と移住者の交流事業などを訴えた。どれも、これまでの活動で聞いた声や直面した課題を反映した。結果は8番目(定数10)で当選した。「現場で聞くさまざまな声を町政につないでいく。身近な存在の町議になりたい」と意気込む。

 町の大きな課題として帰還者と移住者の間にある距離感を挙げる。町に暮らす約2千人超の半数は移住者だ。「現状の住民構成自体が地域課題。富岡で暮らす人々がつながり、顔の見える関係を築く場が必要だ」と考える。本県に移住して12年。「現場に飛び込んで、多くの大切な人ができた。もっと地域を良くするために、これからも多様な人々の声を聞いていきたい」