飯舘牛ブランド復活へ、畜産農家 「文化」つなぎ留める

 
飯舘村で畜産農家を営む山田さん

 飯舘村松塚で畜産農家兼精肉店「肉のゆーとぴあ」を営む山田豊さん(41)。2018年に建て直した牛舎で母牛約80頭、肥育用の牛約20頭、出荷用の子牛約50頭を飼育し、飯舘牛のブランド復活を目指す。「畜産は大変な仕事だが、村の大事な産業の一つ。飯舘牛の復活で地域が盛り上がればいいかな」と優しく牛をなでる。

 先祖代々の農家を引き継ぎ、山田さんで6代目。現在は父の猛史さんと4人の子どもを含め親子3代で協力して牛を世話する。小さい頃から山や川に囲まれた自然豊かな生活を愛し「(繁忙期に近所の農家と協力し合って農作業する)結や結返しなど村での暮らしが楽しかった。ここで子どもも暮らしてほしいと思うようになった」と自然と後継ぎになる決心を固めた。

 大学卒業後、親元に帰って就農した。1人目の子どもが生まれた頃、震災と原発事故が起きた。山田家は大型の家畜車を使って牛ともども避難。猛史さんが中島村や福島市を転々としながら飼育を続け、飯舘牛の文化をつなぎ留めた。

 山田さんは県外で働く場所を探し「戻ってくるつもりだったから、牛に関わる仕事を続けたい」と京都の精肉店へ。そこで肉の目利きや肉を切る技術など肉の扱い方を約5年間学んだ。

 16年に福島市に移り、22年には3世代が暮らせる自宅を飯舘村に建てた。「やっと元通りの生活になってきた」と山田さん。値段の低下など課題はあるが「ようやく全国の農家さんと同じようなことで悩めるような段階にまで持ってこられた」と話す。福島大の石川尚人教授との研究も進み「元々、村の水も良いので肉はおいしい。品質や香りも良い。飼育料の生産を機にもっと帰ってくる人が増えてほしい」と農地の利用や帰村率の向上に期待を寄せている。