【首長に聞く】双葉町長・伊沢史朗氏 町内での居住支援検討

 
伊沢史朗双葉町長

 双葉町は、早ければ6月にも帰還困難区域にある特定復興再生拠点区域(復興拠点)全域の避難指示が解除され、念願の住民帰還が始まる。伊沢史朗町長は、公営住宅の整備に加え「戻って家を建てたい、家を修理したいという町民に対しても、町としてある程度支援できる制度を作っていかなければならない」と検討を進める考えを示した。

 ―帰還が現実味を帯びてきた。今の心境は。
 「よくここまで来たなというのが正直な気持ち。震災から10年以上も、町民が途切れることなく『戻りたい』と思い続けたことが一番大きい。帰還のハードルは高いが、国、県だけではなく町としてどのような支援ができるか考えたい」

 ―町役場の仮設庁舎や公営住宅の建設が進む一方、更地が増えている。どう活気を取り戻す考えか。
 「戻ることができるうれしさはあるが、戻ってからが相当大変だ。誰が帰るか分からない中で、最初に戻る人も大変。だからこそ、まずは役場が戻り、職員が町に住み、自分たちで問題点をしっかり把握して、解決するしかない。特効薬はないが、戻った人たちが生き生きと生活すれば、他の人にも良い影響を及ぼすことができるのではないか」

 ―拠点から外れた帰還困難区域再生の取り組みは。
 「国との協議を進めるため、行政区としての考え方を出してもらえるよう区長にお願いしている。現段階では、戻る意識を持っている人が多いと聞く。喜ばしさと責任の重大さを感じる。ただ、今は除染の規模感が見えない。本来求めているのは全域の避難指示解除。今後、どこかの自治体がモデル認定を受けるようになると思う。そのときに、なんだそんなに狭いのかとならないよう、国と協議し、しっかり除染エリアを広げなければならない」