西銘復興相「医療費、市町村と再協議」 減免見直し、まず具体案

 
避難者向けの医療費などの減免措置に「見直し案を作成後、市町村に再度相談する」と語る西銘復興相

 西銘(にしめ)恒三郎復興相は1日、東日本大震災から丸11年となるのを前に福島民友新聞社などの合同インタビューに答えた。東京電力福島第1原発事故で避難指示が出た12市町村の被災者の医療費や介護などの保険料を免除する特例措置に関し制度見直し案を検討した上で市町村と再協議し合意形成に努める考えを示した。

 ―復興庁発足から10年となった。被災地の現状と果たすべき役割は。
 「原子力災害の被災地では帰還困難区域の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の整備や拠点外の避難指示解除に向けた対応、福島国際研究教育機構の整備など中長期的な対応が必要だ。復興庁が司令塔として関係機関との調整や被災地での一元的な窓口機能を担い、着実な復興に尽力したい」

 ―復興拠点外の避難指示解除に向け、帰還意向のない人の家屋や土地の除染を求める地元に、政府がどう向き合うかが問われる。
 「地元の強い思いは感じている。現時点では帰還意向のある人への対応に優先順位を付けているように見えるが、地元自治体と丁寧に話し合いをしながら、いつかの時点で方向性を見いだしていくことになる」

 ―第1原発の処理水の海洋放出方針を巡り、国内外の風評対策は。
 「来日した国際原子力機関(IAEA)の調査団には(放出に懸念を示す)中国、韓国の専門家も入っている。第三者の視点でのチェックを含め、科学的根拠に基づく正確な情報を国の内外に向けて発信し、理解を醸成することが重要だ」

 ―医療費などの減免措置について、早ければ2023年度からの段階的な縮小を検討しているが、地元の理解を得られると思うか。
 「厚生労働省と連携して具体案を検討中だ。見直し案を作成後、市町村に再度相談する。医療や介護など住民の生活に密接に関わる措置であり、激変緩和など市町村の声も十分に踏まえ地元の理解を得られるよう引き続き丁寧に対応する」

 ―子育て世代は避難先に生活基盤ができ、帰還した人は高齢者が多い。若い世代の帰還、移住・定住促進の取り組みは。
 「医療はどの世代にも必要であり、若い世代が移住するにしても、なりわいの場がなくてはならない。地元ときめ細かく連携し、政府一丸で取り組んでいく」