【首長に聞く】南相馬市長・門馬和夫氏 ロボテスで復興好循環

南相馬市は、東日本大震災と原発事故の住民避難で人口減少、少子高齢化が加速し「20年先の日本の縮図」と指摘される。門馬和夫市長は「若者が来たくなるような新しい街づくりを進めたい」と決意を語った。
―市のこれまでの歩みをどのように見ているか。
「海岸防災林などの津波被災関連や復興拠点施設など、ハード面の整備はほぼ完了した。しかし人口減少、少子高齢化が加速したほか、その後の東日本台風やコロナ禍で、依然として厳しい状態が続いている。震災発生当時は、復興にこれほど時間がかかるとは正直思っていなかった」
―小高区の復興像をどのように描いていくか。
「居住人口は原発事故前の約3割まで減少したが帰還者は皆、地域愛と行動力にあふれ、人口の割に活力のある地域だと思う。最近では若手起業家の移住も増えた。今後、産業団地の整備などを進め、新しいことに挑戦できるチャレンジャーの街、帰還者と移住者の調和の取れた全国に誇れる新しい街づくりを進めたい」
―福島ロボットテストフィールドを市の復興にどうつなげるか。
「市の持続的な発展に向け、ロボット産業を中心とした雇用、産業創出の核となる施設だ。新たな企業や人材を呼び込むだけではなく、地元関連企業の受注にもつながるような好循環を生み出していきたい」
―震災・原発事故12年目はどういう年にしたいか。
「現在の居住人口は約5万4000人で、避難を継続中の住民は約3800人。帰還促進だけでは震災前の約7万1000人には戻らないことが明確となった。今年は誘致企業の着工や操業開始など、これまでの取り組みが芽を出し始める。移住者が来たくなり若い世代が住みやすいと思えるような街の基盤整備を進めていく」
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