【首長に聞く】葛尾村長・篠木弘氏 企業誘致で雇用を広げる
葛尾村は、村域の大半で避難指示が解除され、基幹の農畜産業の復興が進む。一方、居住率は震災前の約3割にとどまり、帰還や移住定住の促進が課題だ。篠木弘村長は「企業誘致による雇用拡大と住環境整備を同時並行で進め、復興を加速させたい」と話す。
―震災から11年。村の復興状況をどう見るか。
「一つの課題を解決しても次の課題が出てくるような厳しい状況が続くが、着実な歩みを進めたい。基幹の農畜産業は水田の作付面積が年々回復し、新年度には和牛繁殖施設、酪農施設の整備も進む予定だ」
―雇用と住環境の確保にはどのように取り組むか。
「村内2カ所に整備した産業団地には2社の進出が決まり、残りの区画でも魅力的な企業から引き合いがあり、全て埋まる予定になっている。それに合わせた住まいの確保も重要で、新年度には新たに住居ゾーンを整備する。120人規模が暮らせる場をつくり、移住定住につなげたい」
―今年春ごろに野行地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除を目指している。
「復興拠点での準備宿泊は、昨年11月に双葉郡で最も早く始まった。今年春ごろの解除を目指しているが、新型コロナの影響で思うように住民説明会を開くことができていない。日程ありきではなく、住民との対話の中で解除時期を決めていく。復興拠点から外れた小出谷地区(4世帯)に関しては、隣接する浪江町と一体的な形で除染、解体を進めるよう政府に求める」
―来年4月には村政100周年を迎える。
「私が村長在職時に大変な節目に当たり、身の引き締まる思いだ。新年度にしっかりと計画し、葛尾伝統の能と狂言を含めた記念行事を企画し、多くの皆さんと100周年を迎えたい」
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