【首長に聞く】川内村長・遠藤雄幸氏 新しい村の風土をつくる
川内村は、東京電力福島第1原発事故に伴う全村避難を経て2012(平成24)年1月に「帰村宣言」をした。双葉郡で唯一、震災当時から首長を務める遠藤雄幸村長は、ワイン用ブドウ栽培など新たな産業の構築や農業再生に挑んでおり「新しい村の風土をつくっていく」と力を込めた。
―「帰村宣言」から10年の歩みと現状をどう見るか。
「医療や介護サービス、買い物施設の整備など、住民が戻れる環境づくりに取り組み、ほぼ形が整った。少しずつ帰村が進み現在の帰村率は8割を超えたが、今も避難生活を送っている住民を含め全体の人口は減少している。移住者を呼び込むための施策に力を入れたい」
―村にとって移住施策を進める利点は何か。
「住民が気付かない観光資源など村の"宝物"を発見したり、外の視点と柔軟な発想で誘客につながるイベントを企画した移住者もいる。居住者増という視点だけではなく、村に刺激を与えてくれる大切な存在と考えている」
―今月中旬誕生する予定の村産ワインへの期待は。
「2016年にブドウの栽培を開始してから6年を迎える中、ようやく多くの人にワインを提供できるようになる。関係者が努力と苦労を重ねてきただけに感慨深い。ワインと調和する地元食材を使った料理の開発や、ワイナリー(醸造所)前の美しい景観を生かして観光振興につなげたい」
―今後の村づくりにどう取り組むのか。
「移住者ら新しい住民と、元々の住民が力を合わせながら新しい風土をつくっていきたい。数年後には村といわき市を結ぶ道路の利便性も格段に向上する見通しで、観光の活性化を含め未来への明るい材料がそろっている。村がより元気になるよう挑戦を続けたい」
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