【首長に聞く】川俣町長・藤原一二氏 移住定住促進に向け力

川俣町の山木屋地区は、東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示が2017(平成29)年3月末に解除された。移住定住の促進や農業振興が課題だが、年度内にライスセンターの完成を控えるなどさらなる復興に向けた明るい兆しも見えている。藤原一二町長は「移住定住の促進に向けた施策に力を入れ、町の復興を前進させる年にしたい」と意気込みを語る。
―現在の復興状況をどう見るか。
「山木屋地区の居住者は現在340人ほどになった。帰還者による営農再開の動きも増え、活気が戻りつつある。11年で築き上げてきた復興の土台を基に、今後は山木屋に加え、全町的な地域再生に向けた取り組みが重要になってくる」
―昨年9月に開所した「移住・定住相談支援センター」の運用状況はどうか。
「これまでに70件近い問い合わせがセンターに寄せられており、手応えを感じる。移住者は行政が気付かないような町の魅力を知っている。現在募集中の地域おこし協力隊ら移住者の目線を積極的に取り入れ、新たなアイデアによる産業の創出、振興を図りたい」
―重点施策の中心市街地活性化をどう進めるか。
「中心市街地活性化は町全体の復興の鍵を握る。町の中心部には、依然としてカフェや宿泊施設などが整備されていない。気軽に人が集える場を整備し、にぎわい創出につなげたい。『ふくしま復興再生道路』に位置付けられている国道114、349号の整備が完了すれば、近隣地域とのアクセスが向上し、交流人口拡大にもつながるだろう」
―町の将来像は。
「人口減少は避けられない問題。子育て環境や福祉施策を充実させ、『住み続けたい』『古里に戻りたい』と思ってもらえるようなまちづくりを進めていく」
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