【首長に聞く】富岡町長・山本育男氏 住民の意見を聞き再生へ

富岡町では4月から、帰還困難区域内の特定復興再生拠点区域(復興拠点)で準備宿泊が始まる。東京電力福島第1原発事故からの再生に向け新たなステージに入ることを踏まえ、山本育男町長は「住民と共に復興拠点の将来像を描いていきたい」と語った。
―震災、原発事故から11年を迎える復興の現状は。
「避難指示が解除された地域では復興に向けたハード面はほぼ整ったが、課題も多い。住民からの要望が根強い医療体制の強化に向けては、小児科や産婦人科など診療科目の充実が重要となる。双葉郡に共通する課題でもあるので、8町村が連携して県などに実現を要望したい」
―準備宿泊が始まる復興拠点の再生にどう取り組むのか。
「住民の意見や提案を丁寧に聞きながら再生への道のりを歩んでいきたい。来年春には復興拠点の避難指示が解除される予定だ。住民が『帰りたい』と思い、移住者も『住みたい』と関心を持てるような特色のあるまちづくりを進めたい」
―復興拠点から外れた帰還困難区域の復興の進め方は。
「まずは環境省による除染が進まなければ住民は安心できない。新年度には復興拠点外の主要道路沿いなどで除染が始まる予定だ。除染対象範囲が面的に広がるよう引き続き国に求めていく。将来的な避難指示の解除を見据え、活性化につながるような土地利用の在り方についても考えたい」
―目指す町の姿は。
「長く険しい福島第1原発の廃炉の現場で活躍する研究者を輩出したい。子どもたちの学力向上につながる取り組みに力を入れる。富岡高から世界に羽ばたいたバドミントン競技の選手のように、さまざまな分野で世界で活躍する人材を育てたい」
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