【首長に聞く】飯舘村長・杉岡誠氏 「なりわいの再生」加速へ

 
杉岡誠飯舘村長

 飯舘村は、2017(平成29)年3月末の避難指示解除から丸5年を迎えようとしている。帰還困難区域の長泥地区に、来年春の避難指示解除を目標として整備する特定復興再生拠点区域(復興拠点)の再生にどう取り組むかが、村の復興に向けた大事な分岐点となる。杉岡誠村長は「村民の生きがい、なりわいの再生につながる取り組みを加速させていく」と語る。

 ―震災から11年を迎えるが、現状をどう見るか。
 「11年の歳月は非常に早かった。農畜産業で言えば、土地活用が順調で、5割程度は復興が進んだと実感している。中でも若い世代の担い手が頼もしい存在だ。企業誘致や起業支援を含む産業創出には、引き続き力を入れていく必要がある」

 ―村内居住者は震災前の人口の3割に満たない。住民帰還をどう進めるか。
 「住民に戻ってきてほしいという思いは一貫して変わらない。今後の住民帰還は、単に村に戻るということではなく『新たに住み直す』という段階にある。村に住むという決断をしてもらえるような施策が必要となる。帰還した際に村民がなりわいに就けるよう、サポートをしていきたい」

 ―復興拠点の再生にどう取り組むか。
 「2月下旬に発足した除染検証委員会の検証を踏まえ、準備宿泊の体制やインフラ整備に全力を注ぐ。拠点に設ける『農の再生ゾーン』については、地力の回復が不可欠となっている。農産物の栽培品目の選定などを住民と意見交換しながら進めていく」

 ―村政運営の課題は。
 「『アフターコロナ』を見据え、村民の挑戦を支援する村独自の支援策『スタートアップ補助金事業』があることを村民に知ってほしい。第2期復興・創生期間後を見据え、村民主役のむらづくりに取り組む」