【首長に聞く】田村市長・白石高司氏 「より良い都路」目指す

2014(平成26)年4月に避難指示が解除された田村市都路地区は、1月末現在の帰還率が91.5%で、県内で避難指示が出された他の地域に比べると高くなっている。白石高司市長は「震災前に戻すことも大事だが、より良い地域を目指して都路の魅力を高めていきたい」と話す。
―基幹産業の農業振興にどう取り組むか。
「生産性を高め農産物や畜産物に付加価値を付けていくことが必要だ。ライスセンターが昨年完成し、コメの乾燥調製や殻粒選別などができるようになった。以前から課題となっている農家の高齢化には、機械化を進めることで対応していきたい。畜産業はJAと連携しながら産地化していく。例えば、市内飲食店で地元産の肉をメニュー化できれば、消費拡大につながる」
―里山再生の見通しを。
「都路はシイタケ原木の生産地として有名だったが放射線量の影響で材木が活用できない状況だった。県が進める広葉樹林再生事業を活用し、シイタケ原木の樹林を再生させていく。すぐに成果が出るわけではないものの、今から始めなければいけない事業だ」
―移住定住を進めるため東京にリクルートセンターを設けたが、反応はどうか。
「リクルートセンターは、オンラインイベントや林業体験ツアーなどを通じて市の魅力を情報発信している。昨年10月のオープン以来、99人が移住相談に訪れ、実際に市への移住を決めた人もいる。市としては、移住者が孤立しないための支援をしていきたい」
―観光振興で求められることは何か。
「都路だけでなく、市全体で人を呼び込む姿勢が大切だ。新年度には、市内のサクラの名所を巡る周遊観光コースづくりに取り組む。都路を含めた観光資源の掘り起こしにつなげたい」
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