あの日を思い、祈り続ける 東日本大震災11年、福島県各地で追悼

東日本大震災から丸11年を迎えた11日、県内各地に犠牲者を追悼する県民の姿があった。大津波が押し寄せた沿岸部をはじめ、追悼式典会場や街中、職場、あるいは自宅―。巨大地震が発生した午後2時46分、それぞれの思いを胸に、黙とうをささげた。
11年の月日は、本県の復興が進んでいる証しの一つと言える。避難指示が出された地域では今春から、帰還困難区域に設けられた特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除が計画されるなど、帰還に向けた動きが、少しずつだが、着実に前進している。
一方、11年の月日は、震災・原発事故の「風化」を進めてもいる。記憶と教訓を後世に伝える県の記録施設「東日本大震災・原子力災害伝承館」(双葉町)。この日、展望デッキでは来館者らが海に向かって黙とうをささげた。「忘れないで」「語り継ぐ」。犠牲者への思いとともに、願いと決意が込められていた。
県主催の追悼復興祈念式は、福島市のとうほう・みんなの文化センターで執り行われた。遺族代表の高田求幸(もとゆき)さん(南相馬市)は「災害時にどのように行動すべきか、常に防災意識を持って生活することが大切」と胸に刻む。会津高合唱部は「あいたくて」「夜明けから日暮れまで」を献唱、歌声を御霊(みたま)にささげた。
内堀雅雄知事は「依然として高く険しい壁が立ちはだかっているが、県民がそれぞれの思い描く夢や希望に向かって果敢に挑戦を続けている。その一つ一つが福島の希望となり、新たな未来を形づくる」と県民に呼び掛けた。
震災による県内の死者は関連死を含め4162人に上り、3万3365人がいまだ避難生活を続ける。県主催の祈念式に参列した岸田文雄首相は、御霊を前に「福島の本格的な復興・再生、東北の復興に全力を尽くす」と誓った。
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