東電社長が訓示「責任貫徹の基本は信頼」 全社挙げて回復目指す

 
所員に対して訓示する小早川社長(東京電力提供)

 東京電力の小早川智明社長は11日、福島第1原発でグループ企業を含めた全社員約3万人に向け、オンラインで訓示し「当社の原点は福島だ。福島に対する責任の貫徹の基本は信頼だ」と述べ、昨年に相次いだ廃炉を巡るトラブルで失墜した信頼回復に、全社を挙げて努める考えを示した。

 小早川氏は午後2時46分から1分間の黙とうをささげた後に訓示した。昨年2月の本県沖地震でタンクがずれたことを巡る公表の遅れや、廃棄物を収納したコンテナからの漏えいなど相次いだ不適切事案を振り返り「復興のためには安全かつ着実な廃炉を進め、信頼を得ることが大前提にもかかわらず信頼を失っている」と反省した。

 地元自治体からの「帰還する住民に不安を抱かせることはあってはならない」との要請に応じるため「安全かつ着実な廃炉が復興のベースになる」とし、全社員に正確な情報発信と安全最優先の作業を求めた。

 小早川氏は訓示後、富岡町で報道陣の取材に応じ、来年春ごろの予定とされている、多核種除去設備(ALPS)処理水の放出時期について「今はスケジュールありきで話す段階ではない」とし、関係者の理解を得る努力を続ける意向を示した。また、県内漁業者との「関係者の理解なしに、いかなる処分もしない」との約束も「必ず守る」との考えを改めて示した。

 小早川氏が福島第1原発で訓示するのは、2020年以来2年ぶり。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を理由に東京からオンラインで行った。