震災11年 津波犠牲者らへの祈り 浜通り各地で慰霊、追悼行事

 
花を手向け、手を合わせる参列者=いわき市平豊間

 11日に東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から11年を迎えた浜通り各市町村では、慰霊祭などの追悼行事が行われ、参列者らは犠牲者の冥福を祈りながら、地域の復興へ誓いを新たにした。

 豊間地区 犠牲者に献花、復興と決意

 津波で住民85人が亡くなったいわき市平豊間の豊間中央集会所広場では、同地区住民らが震災追悼式を行い、遺族らが献花した。

 震災発生時刻の午後2時46分、消防車のサイレンに合わせて参列者約50人が黙とうした。遠藤守俊区長はあいさつで、同地区の世帯数が震災前の約9割に回復したことを紹介。「復興は少しずつ進んでいる。自分たちの街は自分たちでつくる」と決意を述べた。読経に続き、遺族や地域団体の代表者、同地区の役員らが献花した。

 津波で息子夫婦を亡くした鈴木文子さん(78)は「11年たっても寂しい。この気持ちは生きてるうちは消えない」と涙を浮かべた。

 薄磯地区 午後2時46分...慰霊碑に祈り 

 いわき市薄磯地区の東日本大震災物故者慰霊法要は地区内の修徳院で行われ、参列者らが故人の冥福を祈った。

 猪狩弘栄住職らが読経する中、鈴木幸長区長や遺族らが焼香。午後2時46分には慰霊碑に移動し、祈りをささげた。法要後は薄磯海岸に移動し、僧侶が紙塔婆を流して津波犠牲者を供養した。

 津波で両親を亡くした国光弘子さん(64)は「区画整理で地域が変わるのは複雑だが受け入れられるようになった。ただ、両親のことはいつまでも忘れることはできない」と話した。

220314hamatiiki02.jpg慰霊法要で慰霊碑に焼香し祈りをささげる遺族ら=いわき市・修徳院

 久之浜、大久地区 海岸に献花、黙とう

 震災関連死を含めて69人が亡くなったいわき市久之浜、大久地区の追悼慰霊行事は、久之浜稲荷神社などで行われた。

 地元区長や、まちづくり団体でつくる「3・11の会」が主催し、神社と神社前の海岸で献花が行われた。参列者は神社敷地内の石碑に花を供えて手を合わせ、午後2時46分になると海に向かって黙とうした。

220314hamatiiki03.jpg石碑に手を合わせる参列者=いわき市・久之浜稲荷神社

 南相馬市鹿島区 震災の記憶風化させない

 東日本大震災の津波で地域住民ら58人が犠牲になった南相馬市鹿島区烏崎行政区では慰霊祭が行われ、住民らが故人の冥福を祈った。

 地区の慰霊碑前で行われた慰霊祭では曹洞宗県青年会相双支部の読経の中、参列者が次々と焼香した。佐藤芳信行政区長は「震災の記憶を風化させないためにも、これからも慰霊祭を続けていく」と話した。

220314hamatiiki04.jpg慰霊碑前で手を合わせる参列者=南相馬市鹿島区

 相馬・磯部小 犠牲の児童園児に思い寄せ

 磯部小は、相馬市の同校で防災の集いを行い、津波で犠牲になった児童と園児に思いを寄せ、災害に備える気持ちを育んだ。

 東日本大震災では児童と同校に隣接する磯部幼稚園の園児計12人が亡くなった。

 全校児童24人は、災害への備えについて学んだ後、校内の慰霊碑に献花した。

 児童を代表して「復興への誓い」を述べた6年の寺島志桜(しおん)さんは「同じような震災が発生したときに、自分や家族、身近な人の命を守れるように、普段からしっかりと備えたい」と誓った。

220314hamatiiki05.jpg復興への誓いを述べる寺島さん=相馬市・磯部小