震災11年...犠牲者の追悼と防災・復興考える一日 会津各地で催し

東日本大震災の発生から11年を迎えた11日、会津地方各地でも犠牲者の追悼や防災、復興を考える催しが行われた。
日ごろの備え大切、若松でシンポジウム
県会津地方振興局は、会津若松市で3・11ふくしま追悼復興祈念行事in会津「輝け!未来」を行った。会津稽古堂で開かれた復興シンポジウムでは、参加者が震災と同じ年の7月に起きた新潟・福島豪雨を振り返り、日ごろの備えの大切さを考えた。
川口高の生徒が原発事故後の県産品に対する風評払拭(ふっしょく)、新潟・福島豪雨後の復興に向けた取り組みを紹介した。豪雨を振り返った石田萌(めぐみ)さん(1年)、中丸千穂さん(2年)は、夜間に急な避難を強いられた人がいたことから「いつでも避難できるよう、防災グッズをまとめておくことが必要」と語った。
第28回全国小学生作文コンクールで内閣総理大臣賞を受賞した一箕小(会津若松市)3年の高橋瑛心さんによる受賞作の朗読、震災や豪雨の被災体験を語り合うパネルディスカッションも行われた。
震災が起きた午後2時46分に合わせ、出席者が黙とうをささげた。
「日ごろからの備えが大事」と語った石田さん(左)と中丸さん=会津稽古堂
キャンドルナイト 復興パネルも除幕
キャンドルナイトは、県会津若松合同庁舎の正面玄関前で行われた。キャンドル約150本を「3・11あいづ」の形に並べた。
点灯に先立ち、正面玄関近くに設置された新しい復興特大パネルの除幕式も行われ、デザインを手掛けた同市のデザイナー佐藤志登美さんは「福島の美しい姿を表現した」と思いを語った。
幻想的なキャンドルの光に見入る地域住民ら=県会津若松合同庁舎
坂下のアトリエで「鎮魂の夕べ」
会津坂下町の里山のアトリエ坂本分校は、同所で鎮魂の夕べを開いた。
同所で制作活動に励む芸術家や地元の大沢区、町内外の住民らが集まり、「3・11」をかたどった311本のキャンドルに火をともした。
「3・11」をかたどったキャンドルに火をともした参加者=会津坂下町
柳津、鎮魂と希望の打ち上げ花火
柳津町は、町役場本庁舎近くの只見川沿いで鎮魂や希望への願いなどを込めた花火を打ち上げた。
夜空に次々と大輪の花が咲くと、見上げた町民らが、花火にそれぞれの思いを重ね合わせた。
鎮魂や希望への願いなどを込めて打ち上げた花火=柳津町
会津薬師寺 鎮魂の鐘打ち鳴らす
会津美里町の会津薬師寺では、東日本大震災の犠牲者の冥福を祈る慰霊法要が執り行われた。
慰霊のために毎年震災の発生時刻に合わせて「鎮魂の鐘」を打ち鳴らしている。この日は、天野応観執事長が鎮魂の鐘を突いた。また、昨年3月11日から月命日に毎月実施している震災の慰霊と復興を祈る法要「大般若転読会(だいはんにゃてんどくえ)」も行われた。
天野執事長は「私たちはひたすら祈りをささげている。今も苦しんでいる人々の気持ちが少しでも安らげば」と話した。
「鎮魂の鐘」を突く天野執事長(右)=会津美里町・会津薬師寺
猪苗代町仏教会 犠牲者弔い復興祈願
猪苗代町仏教会は、同町の亀ケ城公園鐘楼堂で「東日本大震災11年忌物故者追悼・復興祈願法要」を行った。参列者が震災の犠牲者を弔うとともに、一日も早い復興を祈った。
町内各寺の住職や檀家(だんか)ら約20人が参列し、震災犠牲者の冥福を祈って全員で読経。地震が発生した午後2時46分に合わせ、参列者一人一人が焼香して鐘を突いた。
鐘を突く町内の住職ら=猪苗代町・亀ケ城公園鐘楼堂
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