タレント滞在、被災地に笑顔を 楢葉、年内にも計画始動

 
プロジェクトの打ち合わせをする磯辺さん(右)。「新しい道を切り開くきっかけになれば」と思いを語る

 芸能界で培ったキャリアで被災地に笑顔を―。楢葉町やその周辺で、芸能活動を行うタレントらが期間限定で住み込み、地域住民との交流や観光情報の発信などをするプロジェクトが年内にも動き出す。新型コロナウイルスの影響などで活躍の場が限られているタレントの活動の場の提供や、東日本大震災からの復興支援などが狙いだ。関係者は地域の新たな魅力づくりにつながることを期待している。

 「それぞれの新しい道を切り開くきっかけになればいい」。楢葉町の地域おこし協力隊として活動し、プロジェクトを企画する磯辺友美さん(33)=さいたま市出身=は、狙いを明かす。

 磯辺さんが描く「それぞれ」の一つが、タレントだ。かつて働いていた芸能事務所で、マネジャーや地域活性化事業などを通してタレントと関わるうちに、タレントには秘められた良さがあることに気付いたが、テレビなどで活躍できるタレントはごく一部。新型コロナの影響でライブ活動が中止になるなど、タレントの活動の場はさらに限られ、「次の働き場」を模索するタレントが出てきた。「活動の場を提供し、自分の進みたい道を見つけてほしい」。そんな思いがある。

 「それぞれ」のもう一つが楢葉町だ。楢葉町は東京電力福島第1原発事故で全町避難を余儀なくされ、2015年9月に避難指示が解除。少しずつ住民が帰還し、今夏には12年ぶりに海水浴場が海開きするなど、復興の途上にある。その一助になりたいと、6月に地域おこし協力隊の一員となった。「海の家やサウナの運営などをして、町に還元したい」と感じている。

 プロジェクトでは、芸能界で活躍したタレントやアイドルらに2週間~3カ月程度住み込んでもらい、道の駅ならはや天神岬温泉しおかぜ荘などに配置。芸能界で培ったトーク力で観光客と観光地を回ったり、お笑いショーを開催したりすることを想定している。知名度を生かして、交流サイト(SNS)で町の魅力を発信し、観光客誘致や移住定住者の獲得にもつなげていきたい考えだ。

 こうしたアイデアは、地元から歓迎の声も上がる。「被災地の暗いイメージを払拭するユーモアのある取り組み。復興の進む楢葉から、双葉郡の関係人口を拡大させていきたい」。道の駅ならは駅長で町振興公社の鈴木昇さん(62)は期待する。

 タレントの新たな道探しと被災地の復興。両方の後押しを目指すプロジェクト。「復興が進む楢葉の姿を多くの人に伝えたい。町外の人が楢葉に足を運ぶきっかけにできればいい」。磯辺さんは、町が人と笑いであふれる姿を思い描いていた。(三沢誠)