復興の歩み...絵本で発信 大塚さんが自費出版、英語翻訳つける

 
「日本全国、海外の人にも読んでもらい、福島のことを知ってほしい」と話す大塚さん(上)東日本大震災後の県内の歩みを紹介している絵本

 環境省福島地方環境事務所の職員大塚淳子さん(55)=福島市=が、東日本大震災後の県内の歩みを紹介する絵本「ふくしまからのメッセージ」を自費出版した。県内の各書店などで販売している。大塚さんは「日本全国、海外の人にも読んでもらい、福島のことを知ってほしい」と語る。

 絵本では、津波や原発事故の影響を受けた被災直後の福島の様子と、復興が進んで活気が戻ってきた福島の様子を表現。「10年前にくるしんだ人たちも今では元気になって頑張っているよ」などとつづった。放射線の正しい知識や、赤べこなど県の特産品も紹介している。外国人でも読めるように英語の翻訳も添えた。

 大塚さんは双葉町出身。高校卒業後は県外で過ごし、震災当時は埼玉県で働いていた。「地元のために風評払拭(ふっしょく)につながることがしたい」と2014(平成26)年に福島に戻り、来日した外国人への通訳ボランティアなどを行った。18年から福島地方環境事務所で働き、現在はリスクコミュニケーションを担当している。

 震災から10年の節目を迎えた21年3月。自身がこれまで感じてきたことや復興に向かう福島の姿を文章に残そうと、パソコンを打ち進めたところ、1日足らずで書き上げてしまったという。「初めは絵本にしようとは思っていなかったが、次第に子どもたちに震災のことを伝えたいと思うようになった」と絵本にすることを決めた。

 初版は千部作製。双葉町役場や図書館などに寄贈したところ、反響が大きかったことを受け、第2版として千部作製し、販売することにした。西沢書店や岩瀬書店、ヤマニ書房、東京都の日本橋ふくしま館「ミデッテ」、アマゾンで購入できる。絵は喜多方市出身のウェブデザイナーが手掛け、福島市の第一印刷が印刷した。大塚さんは「福島から風評がなくなればうれしい」と話す。

 絵本はB5サイズ、32ページで1320円。問い合わせは第一印刷(電話024・536・3232)へ。