災害報道の在り方探る 福島民友新聞社デスクらパネル討論

 
震災報道について意見を交わす桑田デスク(左)ら(報道実務家フォーラム提供)

 NPO法人報道実務家フォーラムと早大大学院政治研究科ジャーナリズムコースは1日、全国の記者や編集者向けのフォーラムを東京都内の同大で開いた。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を題材にした講座では、福島民友新聞社など被災3県の地方紙4紙の記者らを中心に、受講者が発災から12年目に入った被災地の課題や災害報道の在り方、若手記者の育成について考えた。

 「東日本大震災を伝え続けるには―これまでとこれから」をテーマに、福島民友新聞社の桑田広久報道部デスクや河北新報社の高橋鉄男岩沼支局記者、岩手日報社の川端章子記者、福島民報社の鈴木宏謙社会部キャップが意見を交わした。熊本日日新聞社の堀江利雅記者が進行役を務めた。

 桑田氏は、本県への誤解や風評の払拭が課題だとした上で「科学的根拠に基づくデータを冷静かつ正確に繰り返し伝える」と強調。第1原発の処理水の海洋放出方針を巡り「風評対策への政府、東電の本気度が問われており、地元の立場で問題点を徹底的に指摘することが必要だ」と述べた。

 川端氏は全国で相次ぐ自然災害に触れ「その地域だけでなく、岩手の課題に結び付け、次に起き得る災害に備える」と語り、高橋氏は「命に直結するという使命感を持って15年後、20年後も報道を続ける」と決意を示した。鈴木氏は帰還困難区域の再生に向け「古里を元に戻してほしいという県民の声を拾い続ける姿勢を持ち続ける」と話した。

 フォーラムは記者や編集者が実践的な知識を身に付け、取材技法を高めることが目的で、4月29日から3日間の日程で開かれた。