「震災遺産」からあの時を考える 富岡・アーカイブ施設で特別展

 
津波からの避難誘導に当たった警察官と、その行動を伝えていく活動に関する展示について解説する門馬さん

 とみおかアーカイブ・ミュージアムの特別展「震災遺産を考える2022」は29日まで、富岡町の同施設で開かれている。富岡町民が東日本大震災と東京電力福島第1原発事故でどのように避難したのか、またその際にどのようなことが起きたのかを、展示を通じて考えてもらう企画で、大型連休中は8日まで休まず開館する。入館無料。

 震災遺産とは、地震・津波の痕跡や原発事故で生み出された景観の変化など、災害の実情を伝える幅広い資料を指す言葉だ。特別展は「自然災害~地震・津波と避難所運営」「散り散りの避難」「つなぐ意思」の三つのコーナーに分け、震災遺産から読み取ることができる富岡町の経験を紹介している。

 「自然災害~地震・津波と避難所運営」は、富岡町での地震・津波の被害が分かる展示になっている。「散り散りの避難」では、町民が富岡町から川内村、そして役場が機能を移転させた郡山市に避難していく過程を当時の行政資料やパネルなどを使って体系的にまとめている。

 「つなぐ意思」では、2011(平成23)年3月11日の震災時に津波からの避難誘導に当たる中で亡くなった警察官と、その行動を伝えていこうとする人々の思いをまとめた。警察官が乗っていたパトカーの車体を保全しようとした町民の動きなどを、多様な震災遺産を使って浮き彫りにした内容になっている。

 同館の門馬健主任学芸員は「震災遺産が語りかけてくることをどう受け止めるかは、一人一人違う。ぜひ資料の迫力を感じてほしい」と来館を呼びかけている。

 開館時間は午前9時~午後5時(入館は同4時30分まで)。多彩な資料を集めた常設展と合わせて見学できる。大型連休中以外は月曜日が休館となる。

 問い合わせはとみおかアーカイブ・ミュージアム(電話0240・25・8644)へ。