楢葉の地蔵堂...後世に 今は台座のみ、元住民ら一丸で再建へ

東日本大震災の津波で流された楢葉町前原字浜城地区の地蔵堂を再建するプロジェクトが始動した。発起人で町職員の松本昌弘さん(36)は「震災前の記憶や震災の教訓を後世に伝えていくきっかけにしたい」と姿を変えつつある古里への思いを口にする。
町の資料によると、地蔵堂は地区を流れる山田川で亡くなった子どもの供養塔として江戸時代の享保年間(1716~35年)に建てられた。その後、老朽化に伴い1971(昭和46)年3月に再建されたが、現在は地蔵堂のあった台座のみが残っている。
浜城地区を巡っては、地区の大半が住宅の新築を制限する災害危険区域に指定されており、震災前とは大きく姿を変えた。震災当時は19世帯が暮らしていたが、福島第1原発事故の影響で避難を余儀なくされ、震災後は住民同士が顔を会わせる機会もなかったという。松本さんは「復興が進む中で自分たちの生活の痕跡がなくなっていくのは悲しい。当時の記憶を何とか形にして残したかった」と話す。
今回のプロジェクトはコミュニティーの再建としての役割も期待しており、同地区で暮らしていた住民も活動に加わる。震災前の世帯数と同じ19体の地蔵を作る予定だ。復興を願い被災地で地蔵を建てる活動に取り組む山形市のNPO法人と協力しながら活動する。
第1回目の活動は21日、楢葉町の徳林寺で行う。同NPOと交流のある仏師を講師に招き、木像への刃入れなどの教えを受ける。活動は全3回を予定している。(三沢誠)
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