飯舘産牛「食べられるのうれしい」 村で販売会

 
村産牛肉を買い求める来館者でにぎわう販売ブース。右は佐藤さん

 飯舘村産和牛の販売会が21日、村内で開かれた。村内外から多くの人が会場を訪れ、東京電力福島第1原発事故で生産が一時途絶えた、村産牛肉を買い求めた。飯舘牛ブランドの復活に向けた取り組みの一環で、原発事故後、村内で村産牛肉が販売されるのは初めて。

 ブランド復活へ

 販売会場となった「いいたて村の道の駅までい館」では、開店前に多くの人が列を作った。村内から訪れた菅野敬さん(78)は「飯舘産の牛肉を食べられるのはうれしい。今回を機にブランドの復活に向けた盛り上がりが生まれてほしい」と期待した。

 販売会は、村や村内の畜産農家などが「飯舘牛復活応援プロジェクト」の第2弾として企画した。販売した牛肉は、佐藤一郎さん(61)が村内で肥育した黒毛和牛の牛肉だ。郡山市で先月行われた競りで「A5等級」の判定を受けた牛肉で、サーロインやリブロース、カルビなどの部位が数量限定で販売された。

 佐藤さんは2017年3月の避難指示解除後に村内で畜産を再開し、和牛の繁殖と肥育に取り組んできた。店頭に立った佐藤さんは「ブランドの復活を多くの消費者が望んでいる。その期待に応えるために、今後も丹精込めて牛を育て、村の再興に貢献していきたい」と思いを口にした。

 村内10軒で飼育

 震災前、村内には約210軒の畜産農家があり、約1200頭の牛を飼育していた。しかし原発事故で全村避難を強いられ、多くの農家が畜産から離れた。現在は約10軒の畜産農家が、村内で和牛の繁殖や肥育に取り組み、出荷している。

 村や村内の畜産農家などが進める「飯舘牛復活応援プロジェクト」の第1弾では、道の駅で飯舘産牛を使ったメニューを提供したり、煮込みハンバーグなどの加工品を販売したりしている。