津波被害、いわき・江名の防災集団移転跡地 住民有志ら桜植樹

 
桜の苗木を植樹する(右から)台理事長、金成代表区長、戸田代表

 いわき市江名地区の住民有志でつくる「江名シングルアッププロジェクト」は、同市江名字走出の防災集団移転跡地を、住民の憩いの場となる多目的広場として整備を進めている。活動を支援しようと、ひまわり信用金庫が広場に植えるソメイヨシノの桜の苗木70本を同団体に寄付し、21日に現地で植樹した。

 江名シングルアッププロジェクトによると、周辺は東日本大震災前は23軒ほどの住宅が並んでいた。津波でほとんどの家が流されるなど大きな被害を受け、住民は防災集団移転した。跡地に公園の整備などが検討されたが、交通の便が悪い立地や管理の問題もあり、活用が課題となっていた。

 4年ほど前から同団体がいわき市と借地契約し、地元の江名アーチェリークラブの活動場所として活用を開始した。

 住民が集う広場として景観を整備しようと汗を流していた団体の活動に賛同し、ひまわり信金が苗木の寄贈を決めた。

 植樹式では、台正昭ひまわり信金理事長と江名シングルアッププロジェクトの戸田寛幸代表、金成克哉江名地区代表区長があいさつした。震災前、周辺に住んでいた元住民や団体メンバー、信金職員ら約50人が参加し、苗木70本のうち35本を植えた。

 残る苗木35本は秋に植樹を予定している。戸田代表は「震災の被害を乗り越えて、人が集まる場所になってほしい」と願いを込めた。