先祖の霊弔う盆踊り 浪江・国玉神社、12年ぶり再開の喜び胸に

 
12年ぶりの盆踊りで太鼓の音に合わせて踊りの輪を広げる地域住民ら=浪江町・国玉神社

 東日本大震災で被災し、7月に再建された浪江町川添の国玉神社で14日、震災と東京電力福島第1原発事故で中断していた盆踊りが12年ぶりに行われた。再開を待ちわびた地域住民らが集まり、復興の喜びを胸に先祖の霊を弔った。

 同神社は震災前、地域住民の心のよりどころとして親しまれ、盆踊りや例大祭が毎年開かれていた。震災で社殿が傾くなどの甚大な被害を受けたが、次世代に残そうと、氏子や地域住民らが協力して費用を集め、社殿の再建を果たした。

 同神社を拠点に活動していた浪江町川添芸能保存会が中心となり、12年ぶりに盆踊りを再開した。会員が奏でる太鼓の音に合わせ、参加者がやぐらを囲み、盆踊りを楽しんだ。震災前から残るやぐらが使われ、懐かしさを感じられる雰囲気となった。保存会は獅子舞や奉納神楽も披露した。

 震災前から盆踊りに参加していた同町の畠山煕一郎(きいちろう)さん(76)は「再開してくれた保存会の会員には感謝しかない。町の復興の証しになる」と喜んだ。保存会の石沢孝行会長(54)は「町に人が戻るきっかけになればうれしい」と話した。