浪江の復興拠点、準備宿泊始まる 3地区、立ち入り規制を緩和

 
準備宿泊が始まり、開放されるバリケード=1日午前9時、浪江町下津島

 浪江町の特定復興再生拠点区域(復興拠点)で1日、来春の避難指示解除に向けた準備宿泊が始まった。政府は同日午前9時、復興拠点のバリケードを順次開放し、立ち入り規制を緩和した。同町下津島のつしま活性化センターでは、規制緩和に伴い地域の防災、防犯を強化するための出動式が行われ、警察や消防などの車両が次々とパトロールに繰り出した。

 出動式に出席した吉田栄光町長は「震災から11年6カ月が過ぎたが、町民は一日も早い復興を願っている。課題はたくさんある。住民と膝詰めで話し合い、拠点外を含めた帰還困難区域の復興を進めていきたい」と述べた。

 浪江町の復興拠点は室原、末森、津島の3地区の一部に設定された計約6.6平方キロで、町の面積の3%に当たる。町によると、準備宿泊の対象は1日現在で305世帯833人。同日現在で参加を申し込んでいるのは2世帯4人だが、町は参加数について、昨年度に10回以上、自宅に一時帰宅した町民が約30世帯あったことから、今後増えるとみている。

 町は復興拠点内の自宅を解体した住民らを対象に、つしま活性化センターで宿泊できるよう調整している。センターは3月の地震で被災して修繕中のため、11月の利用開始を目指している。

 県内6町村に設けられた復興拠点を巡っては葛尾、大熊、双葉の3町村で避難指示が解除された。浪江、富岡、飯舘の3町村は来春ごろの解除を予定する。