震災の伝承を強化・連携 語り部ネットワーク発足、風化防止へ

 
語り部による伝承活動の強化を誓い合ったネットワーク会議の設立会合

 県内で東日本大震災や東京電力福島第1原発事故についての伝承活動に取り組む17団体は6日、連携組織の「東日本大震災・原子力災害ふくしま語り部ネットワーク会議」を設置した。震災から11年7カ月が経過する中、語り部による震災経験や福島の現状を伝える活動を強化することで風化防止と風評払拭につなげていくことが狙い。来年1月には各団体が課題などを語り会う交流会を開き、本格的に始動する。

 各団体の代表者が双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館に集まり、会議の設立と当面の事業などを決めた。会の活動は、ネットワーク加盟団体のレベルアップと人材育成、県内外への語り部派遣の三つの事業が柱。このうちレベルアップを巡っては、それぞれの団体が抱えている課題などについて話し合う交流会を開く。県民の参加も呼びかけ、語り部の裾野を広げることも目指す。

 人材育成では、ネットワーク会議に「次世代伝承者育成プログラム検討プロジェクトチーム」を設ける。地震、津波、原子力の複合災害に直面した本県の特徴を踏まえた育成プログラムについて、年度内の作成を目指す。メンバーは伝承について研究する有識者や語り部団体の代表らで構成する。

 語り部派遣については、本年度は県のモデル事業を活用して栃木県と兵庫県の防災イベントへの語り部派遣を実施する。派遣先の団体からどのような語り部のニーズがあるかを聞き、加盟団体から推薦された語り部の中から適任者を派遣する。このほか、議事では会長に青木淑子さん(富岡町3・11を語る会)、副会長に大谷慶一さん(いわき語り部の会)を選任した。

 ▽加盟団体=會空、いわき語り部の会、おおくま町物語伝承の会、大熊未来塾、大堀相馬焼協同組合、原発震災を語り継ぐ会、ニコニコ菅野農園、相馬市観光協会、富岡町3・11を語る会、浪江まち物語つたえ隊、ならはみらい、ばんげ読み聞かせの会、東日本大震災・原子力災害伝承館、HITOkumalab、藤沼湖自然公園復興プロジェクト委員会、双葉未来会議、南相馬市観光ボランティアガイド