アクアマリンの解説員、8年ぶり復活へ 「人による解説」重視

 
「生き物のいろいろなことを知ってもらえるように頑張りたい」と言葉に力を込める(右から)皆川さん、山田さん、福野さん

 いわき市小名浜のアクアマリンふくしまは、休止していた解説員を復活させる。解説員は生物の知識や環境保全などについて来館者に伝える役割を担う。アクアマリンは昨年12月に3人を新規採用。「皆さんに生き物のいろいろなことを知ってもらえるように頑張りたい」。3人は3月20日ごろの本格デビューを目指して研修を積んでいる。

 アクアマリンは2000(平成12)年に開館し、解説員を兼ねた来館者の案内役「マリンメイツ」を設けていた。開館してから年間100万人近い人が訪れていたが、11年の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で来館者が大幅に減少。収入も減ったため、人件費削減のため14年ごろにマリンメイツを廃止した。

 「環境水族館であるアクアマリンの魅力は体験活動で、解説員が必要だ」。マリンメイツの研修などに携わり、21年に2代目館長に就任した古川健さん(60)は「人による解説」の重要性を感じ、制度の復活に着手。新たな解説員はこれまで取り組んでいなかったタッチプール「蛇の目ビーチ」などでの活動も繰り広げる予定で、来館者の多彩な疑問に丁寧に答えていくという。そのため、特に展示生物や環境保全に関心のある人が採用された。

 新生解説員となるのは、山田萌々加さん(22)=郡山市出身、皆川裕斗さん(24)=水戸市出身、福野ことみさん(21)=長崎県佐世保市出身=の3人だ。3人はそれぞれ大学や専門学校で生き物などについて学んできた。

 山田さんはアクアマリンと同じ00年生まれ。幼い頃から動物が好きで、自然環境についても興味を持っていた。アクアマリンには何度も足を運んで知識を深めており、「ここで飼育員の研究や環境の大切さについて多くの人に伝えたい」との強い気持ちから大学院を中退し、解説員の世界に飛び込んだ。「来館者の皆さんに水族館のことだけではなく、その先の未来について考えてもらえるようになりたい」と将来を見据える。

 皆川さんと福野さんは県外出身だが、アクアマリンを訪れたことがあり、水族館での教育活動に憧れて解説員を志した。皆川さんは小学生の頃からアクアマリンに通っており、展示されているシーラカンスの標本の前で解説を受けたことが記憶に残っているという。

 皆川さんは「思い入れのある場所で、多くの人に魚などの生き物の大切さを伝えたい」と話す。福野さんは「ここ以外でも魚を見たりすることもあると思うが、アクアマリンで聞いた解説がその人の役に立つような話をしていきたい」と意気込んでいる。

 3人は徐々に活動範囲を広げていき、アクアマリンを象徴する「潮目の大水槽」などで解説活動を行う。施設のPR活動などにも挑戦する予定だ。

 アクアマリンの初代館長の安部義孝さん(82)は、館内に自然の大切さと出合う仕掛けをつくるなどして、環境教育活動の場としてきた。その場所でさまざまな体験をして大人になった3人の飛躍が、アクアマリンのさらなる発展につながりそうだ。