復興拠点外の先行除染候補に大熊と双葉の3地区示す

 

 大熊、双葉の両町は1日、特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた帰還困難区域を対象にした先行除染の候補地について、大熊は下野上1区、双葉は下長塚行政区と三字行政区とする方針を明らかにした。政府は現在、復興拠点外の地区に「特定帰還居住区域」という新たな枠組みを設け、将来的に避難指示を解除することができるよう法改正の手続きを進めている。大熊、双葉の先行除染は新年度中に行われ、新制度適用の第1号になる見通し。

 両町は、1日に開かれたそれぞれの町議会全員協議会で先行除染の候補地を示した。復興拠点との位置関係は【図】の通り。「特定帰還居住区域」は、東京電力福島第1原発事故による帰還困難区域のうち、復興拠点外の避難指示解除を実現する制度として福島復興再生特別措置法を改正して設置される。改正法案は今国会に提出されている。

 除染する範囲などは、住民の帰還意向調査などに基づき自治体と政府が協議して決める。本格的な運用はまだ先だが、政府は与党の提言などを受け、この制度につながる先行的な除染を大熊、双葉の両町で行うと決めていた。両町は住民の意向調査や拠点の内外で行政区が分断されている状況などを踏まえ、候補地を選んだ。両町の先行除染で政府は、新年度当初予算案に約60億円を計上している。

 先行除染が行われる大熊町の下野上1区は、314世帯877人(拠点内外を会わせた統計)が住民登録している。双葉町の三字行政区は294世帯735人(同)、下長塚行政区は56世帯143人となっている。政府の原子力災害現地対策本部によると、両町は今後、法改正の動きを見据えながら除染する範囲などを示した計画案を作り、政府に実施を申請する流れになる。