避難の重要性強調 相馬・磯部中、住民2人が震災の教訓語る

震災当時を振り返る荒さん(左)と阿部さん
磯部中は8日、相馬市の同校で、東日本大震災の教訓を生徒たちに伝える防災教育講演会を開いた。講師を務めた地元の磯部地区の阿部洋子さん(76)、荒貞昭さん(73)は震災当時の状況を語り、子どもたちに防災意識の重要性を訴えた。
同校では津波で生徒6人が犠牲になった。講演会は昨年初めて実施され、今年で2回目。全校生30人が参加した。阿部さんは震災当時、消防団員として住民の避難誘導に力を尽くした長男を亡くした経験や、避難所や仮設住宅などで多くの人に支援を受けたことを振り返った。阿部さんは「生徒にかけがえのない命の大切さ、互いに支え合って生きていかなければならないことを伝えたかった」と話した。
荒さんは「もうこれ以上、磯部から子どもたちを失いたくない」との思いから、震災後、街頭での交通指導を継続している。災害発生時に先入観にとらわれず、避難することの重要性を強調した。「私の顔をしっかりと見て話を聞いてくれる生徒たちにたくましさを感じた。古里の磯部を守るという気持ちを抱いて、成長してほしい」と語った。
磯部中の生徒は10日、慰霊式に臨み、磯部小の児童と共に地区の慰霊碑で祈りをささげる。