忘れない...郷土を教訓を 富岡で慰霊碑除幕、古里復興へ強い決意

 
除幕された東日本大震災慰霊碑。右奥はJR富岡駅=11日午後1時30分ごろ、富岡町

 東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた富岡町の沿岸部に、犠牲者を悼む慰霊碑が建立された。除幕式が11日、現地で行われ、関係者が犠牲者に哀悼の意をささげ、震災と東京電力福島第1原発事故の記憶と教訓を後世に伝承していくことを誓った。

 最大20メートルを超える津波に襲われた町内では24人が亡くなり、JR富岡駅の駅舎が流失するなど沿岸部は壊滅的な被害に見舞われた。

 災害で再び犠牲者を出さないよう沿岸部の仏浜、駅前、毛萱、小浜、下郡山の5行政区長が町に慰霊碑の建立を要望。町は、新しい富岡駅近くで、太平洋が望める仏浜地区の海抜14メートル地点に慰霊碑を建立した。

 高さ3メートル、幅5メートルの慰霊碑には、震災と原発事故から立ち直り、古里の復興を必ず進めていくとの強い決意が記された。避難先で亡くなった人や今も避難生活を余儀なくされている町民らにも思いを寄せてもらうため、津波犠牲者の氏名は刻まれていない。震災の地震で崩落した沿岸のシンボル「ろうそく岩」をイメージした石碑も設置された。

 式では関係者が慰霊碑を除幕し、献花した。山本育男町長が「亡くなった人を追悼し、慰霊碑を訪れた人が津波被害の教訓を後世に伝えていくことを願う」とあいさつした。町行政区長会の坂本栄司副会長は「震災の脅威、教訓を忘れてはならない。未来永劫(えいごう)伝えていく必要がある」と述べた。