入居予定者「12年間待っていた」 浪江「津島住宅団地」完成式

 
浪江町津島地区の復興拠点に整備された津島住宅団地

 浪江町が津島地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)に整備した福島再生賃貸住宅「津島住宅団地」の完成式が18日、隣接する町役場津島支所で行われた。

 31日に復興拠点の避難指示が解除されるため、4月1日から団地で暮らせる。入居予定者に鍵が引き渡され、4月に入居する津島地区出身の石井絹江さん(71)は「12年間この日を待っていた」と古里への帰還に声を弾ませた。

 団地には木造平屋10戸が建てられた。町によると、4月から入居するのは3戸で、ほかに4戸の申し込みがある。住民らがコミュニティーをつくりやすいよう共用の広場にはあずまややベンチを用意した。

 式には約30人が出席。吉田栄光町長が「団地は津島の伝統を未来につなげる架け橋となる」と式辞を述べ、関係者と共にテープカットした。代表して鍵のレプリカを受けた石井さんは「津島の地に足をつけて、のんびりと過ごしたい」と喜んだ。避難先の福島市と二地域居住し、早生桐やエゴマなどの栽培を始めるつもりで「震災前のように戻らなくても一歩ずつ前に進みたい。津島を孫や後輩の世代につなげたい」と語った。

 同じく入居を予定する国分晶子さん(71)は石井さんと津島中で同級生だった。「この巡り合わせに感謝したい。春からの生活が楽しみだね」と笑顔を見せた。