大川小遺族「親として生きる」 記録映画、福島で上映

 
(写真左)千聖さんへの思いを語るさよみさん(写真右)震災当時を振り返りながら映画への思いを語る隆洋さん

 東日本大震災の津波で児童74人と教職員10人が死亡、行方不明となった宮城県石巻市の大川小を巡り、遺族が記録した映像を基にしたドキュメンタリー映画「『生きる』 大川小学校津波裁判を闘った人たち」の上映が県内で始まった。18日には、福島市のフォーラム福島でトークイベントが開かれ、出演者が震災当時や映画への思いを語った。

 イベントには、映画に出演した、当時5年生の娘紫桃千聖(ちさと)さん(11)を亡くした隆洋さん、さよみさん夫妻と弁護団の吉岡和弘、斎藤雅弘の両弁護士が出席した。

 隆洋さんは「娘とずっと関わっていたいし、亡くなってからも親として、子育ての一つとして何かできればと思っている」と話し「全国の方々にこの映画を見てもらい、改めて緊急時や災害時にどう行動するかを考えるきっかけにしてほしい」と呼びかけた。

 さよみさんは「本当は生きるのをやめたかった。あの子に会いたいと思う毎日で、泣いてばっかりいた」と振り返り、「『生まれ変わってもママの子どもがいい』と言ってくれた約束を守るためにも生きなければならない」と千聖さんへの思いを語った。

 同校では地震発生後、教職員が約45分間にわたって児童に校庭で待機するよう指示。児童らは校舎脇の裏山には避難せず、津波に襲われた。これを受け、遺族は市と県を提訴した。映画は遺族が残してきた10年以上に及ぶ映像に、最新のインタビューなどを追加した内容。初期の保護者説明会でのやりとりや5年半にわたる訴訟の軌跡、遺族の苦悩と葛藤などが記録されている。

 上映は30日まで

 映画はフォーラム福島で30日まで公開される予定。19日には、午後1時と同6時の回の上映後に寺田和弘監督によるトークイベントが開かれる。