われら復興の担い手 被災地で輝く新鮮力、強い決意を胸に秘め
新年度を迎え各地で入社式や辞令交付式が行われた3日、東京電力福島第1原発事故からの再生が進む双葉郡では「復興の力になりたい」との強い決意を胸に秘めた新社会人が新たな一歩を踏み出した。
「古里再生へ尽くす」 大熊出身・高田さん
大熊町出身の高田陽弘さん(22)は同日、富岡町に本社を置く建設コンサルタント業「ふたば」の入社式に臨んだ。「生まれ育った地域の復興を後押ししたい」と語る。
12年前、大熊町の熊町小の4年生だった高田さん。東日本大震災が発生し、家族で喜多方市に避難した。そのまま同市の中学と高校を卒業し、会津大のコンピュータ理工学部に進学。プログラミングなどIT関連について深く学んだ。
就職活動をしていた際に、「ふたば」のことを知った。ドローンや3Dなど最新の技術を用いて被災地の復興に貢献している会社だった。「この会社なら、大学で学んだことを生かすことができる」。地元のために、ここで頑張ろうと決めた。
空間情報事業部に配属され、今後はさまざまな測量業務に携わる。高田さんに辞令を手渡した遠藤秀文社長(51)は「若い人の存在は本当に心強い。皆でこの地域を良くしていきたい」と期待を込めた。
就職のため1人暮らしを始めた富岡町の風景は、高田さんの記憶に残る震災前の風景とは全く異なっているという。「それは新しいまちづくりが進んでいる証拠。僕もこの地域のまちづくりを担い、いずれは大熊の発展にも貢献していきたい」。古里が再生していく様子を思い浮かべながら言葉に力を込めた。
「働くなら双葉町」広報役に 新地出身・阿部さん
双葉町の新入職員の阿部紗耶香さん(22)は、役場機能の町内帰還後初めてとなる辞令交付式に臨んだ。「県内で働くなら、双葉町と決めていた」。背景には、県外での町のイメージを変えたいという強い思いがある。
新地町出身。千葉県の大学に進学した。大学時代、周囲の人たちが本県や双葉町の話題を「触れてはいけないもの」と捉えていると、会話の中で感じたことがあったという。
原発事故で甚大な被害を受けたためだと思われたが、阿部さんは、双葉町などに対してもっと前向きなイメージを持ってほしいと願う。「『双葉町は頑張っている』とか、『すごい復興だね』と思ってもらえるように、変えていきたい」
秘書広報課に配属され、町の現状をSNS(交流サイト)などで広く伝えていく役割を担う。「まだまだ知らないことばかり。仕事を少しずつ覚えて、早く『チーム双葉』の一員になりたい」と笑顔を見せた。
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