3年目は白「シャルドネ」 南相馬市産ワイン、収量増へ意気込み

 
「見切り発車で始まったが、ここまで来た」と、新しいワインを手に話す三本松さん

 南相馬市小高区の「コヤギファーム」が7日、昨年小高区で収穫したブドウを使ったワインの販売を始めた。2021年に同市産ワインを誕生させた同社が、今年も上質のワインを完成させた。東京電力福島第1原発事故で避難を経験した代表の三本松貴志さん(49)は「この土地でもできることがあるという証明になる」と、実りの結晶のワインを見つめる。

 コヤギファームは震災前、酪農を営んでおり、牧場には約60頭の牛がいた。しかし原発事故に伴い三本松さんは避難。牛を全て失い、酪農の道は絶たれた。

 途方に暮れる中、「この土地ではもう何もできない」と外部の人に言われ、心に火が付いた。「住んでいない人に何が分かるのか」。山形県のワイナリーの風景に憧れていた三本松さんは、ワイン醸造で古里に元気を呼び戻そうと決意。避難指示の解除を受けて小高に戻った後、ブドウの木を植え始めた。

 現在では畑に7千本のブドウの木が植えられている。三本松さんは「見切り発車で始まり、ここまで来た。理想は1本の木から1本のワインを作ること」と収量増への意気込みを語る。

 ワインは「Camouflage(カムフラージュ)」という銘柄で、今年は新たに白ワインの「シャルドネ」が加わった。口当たりがよく、さっぱりした味わいだという。他に赤ワインが3種類ある。価格は全て750ミリリットル1瓶2800円。同社の店頭か、ホームページ(https://koyagifarm.com/)で購入できる。