須賀川・高土山、13年ぶり山開き 23日、藤沼湖決壊で休止続く

 
23日の山開きに向けて準備を進める地区住民ら

 須賀川市長沼の高土山(たかどやま)(標高729メートル)で23日、13年ぶりに山開きイベントが行われる。東日本大震災で麓にある農業用ダム「藤沼湖」が決壊した影響で、住民らによる登山道の整備などが休止状態となっていた。20日は住民が山開きに向けてごみ拾いや登山道の確認などを行い、当日の準備を整えた。

 住民が準備を始めたのは約2年前だ。住民7人が死亡、1人が行方不明と藤沼湖の決壊からの復旧作業が落ち着きだした頃だった。「高土山なしに復興とは言えない」。長沼地区に登山客が訪れる山開きイベントを復活させようと、藤沼自然公園管理会社の社長を務める住民の深谷武雄さん(77)が近隣の人や市などに呼びかけ、活動を始めた。

 ただ、約10年にわたり放置されていた登山道は雑草が生い茂り、震災前の面影はなかったという。「一からのスタートだった」と深谷さん。山を管理する国に許可を取った上で、住民と市が測量して登山ルートを新たに設定したり、廃材で登山道の階段を整備したりしてきた。

 山開き当日は住民らが久しぶりに登山客を迎え入れる予定だ。温泉施設の入浴券などが当たる抽選会を開いたり、先着800人に記念のピンバッジをプレゼントしたりする。深谷さんは「地域が前進するためには山開きが大きな意味を持つと思った」と振り返り「山開きをきっかけに地域で力を合わせ、長沼を盛り上げていきたい」と期待した。