図書館や博物館機能融合、大熊の社会教育施設 27年末完成目指す

 

 大熊町教委は29日、JR大野駅西側に整備を計画する社会教育複合施設の基本構想を策定した。約7千平方メートルの敷地に図書館や博物館、公民館などの機能を融合させた拠点とし、2027年度末ごろの完成を目指す。「大熊で学ぶ 大熊の記憶をつなぐ」を基本理念に掲げ、町に関わる全ての人を対象に主体的な学びと交流の場づくりを進める。

 29日に町役場で開いた町総合教育会議で基本構想を決めた。建設予定地は【地図】の通り。建物は延べ床面積約5千平方メートル。図書館機能として約15万点に上る資料をはじめ、博物館機能が所蔵する約2840件の文化財、町から移管される震災関連公文書が収蔵される予定だ。

 基本構想には「大熊での学びを支える資料や情報を大切にする」などとした五つの活動方針や施設機能を盛り込んだ。リアルとデジタルが融合した環境の構築も打ち出し、東京電力福島第1原発事故で町民が全国各地に避難している現実を踏まえ、デジタル技術を活用して学びの機会を拡大するとした。具体的には資料や公文書などをデジタルで記録、保存したり、オンライン講座も開いたりする。

 町教委は25年度までに、基本計画と基本設計を策定した上で着工する。施設の管理運営は町営とする方向で検討を進める。

 町内には東日本大震災前まで、図書館や民俗伝承館、公民館などの社会教育機能を持つ施設があったが、解体が進んでいる。大野駅西側では社会教育複合施設のほか、隣接する形で産業交流、商業の2施設の整備が既に始まり、2施設は来年度に完成する見込みだ。